相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットなど詳しく解説
相続時精算課税制度とは、子どもや孫へ合計2,500万円までであれば、原則として非課税で生前贈与できる制度です。
ただし、贈与者が亡くなったときには、生前贈与された財産を加味して、相続税が計算されます。
本稿では、相続時精算課税制度の基本とメリット・デメリットについて解説します。
相続時精算課税制度とは生前贈与の非課税制度のこと
相続時精算課税制度とは、子どもや孫(受贈者)が2,500万円までであれば、贈与税を納めずに生前贈与を受け取れる制度です。
ただし、贈与者が亡くなったときには、生前贈与として受け取った財産を相続財産に足し戻して、相続税が計算されます。
相続時精算課税制度は贈与税の非課税制度でありながら、後に相続税として支払う可能性があることから、税金の支払いを将来に先延ばしするようなものだという指摘もあります。
2024年の法改正では基礎控除が加わった
相続時精算課税制度には、2024年の法改正によって、年110万円までの基礎控除が加わりました。
年110万円までの贈与なら贈与税がかからず、相続税への足し戻しも不要になったということです。
相続時精算課税制度の主なメリットは贈与時の価額で相続税が計算されること
相続時精算課税制度の主なメリットは、贈与時の価額で相続税が計算されることです。
例えば、株式などの財産の生前贈与時の価額が1,000万円であった場合、贈与者が亡くなったとき(相続税が計算されるとき)に株式が値上がりして価額が1,500万円と増額していても、相続税の対象となるのは原則として贈与時の価額である1,000万円です。
この仕組みを利用して値上がりが期待できる財産を早めに贈与しておけば、将来の相続税の節税につながる可能性があります。
他にも、「2,500万円超過分の贈与税の税率が一律20%になる」「相続争い防止につながる」ことなどもメリットといえるでしょう。
相続時精算課税制度の主なデメリットは不動産贈与の場合コストが増えること
相続時精算課税制度の主なデメリットは、不動産を生前贈与すると、税金などのコストが増えることです。
不動産を生前に贈与した場合、「登録免許税(固定資産税評価額の2.0%)」や「不動産取得税(固定資産税評価額の3.0%)※」などの税金を支払う必要があります。
※時限措置による軽減あり
相続で不動産を取得した場合に発生するコストは原則として「登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)」のみであるため、不動産の生前贈与の場合、コストが増えるのが懸念点です。
他にも、「手続きの手間がかかる」「小規模宅地等の特例が使えない可能性がある」ことなどもデメリットといえるでしょう。
まとめ
相続時精算課税制度は贈与税の非課税制度ですが、後に相続税が発生する可能性が高く、必ずしも節税になるとは限りません。
ただ、株式など将来値上がりする可能性のある財産に関しては、相続時精算課税制度を利用して生前贈与しておくことで、相続税を節税できるケースがあります。
相続時精算課税制度は2024年に法改正もあり複雑な内容となっているため、利用を検討するときは専門家である税理士に相談するのがおすすめです。
当事務所が提供する基礎知識Basic knowledge
-
税務調査が行われ...
税務調査とは税務署が税務申告や帳簿の内容に相違はないか、脱税が行われていないか、ということを調査するために行う […]
-
【相続税対策】孫...
生前贈与を行うことによって相続税対策になります。しかし、孫に生前贈与を行いたいという方は多くいますが、孫への生 […]
-
みなし相続財産と...
みなし相続財産とは、相続開始後に相続人に渡される財産でありながら、実質的には被相続人の財産とみなされ、相続税の […]
-
遺言書の種類とそ...
生前に遺言を残しておくと、遺産相続に際して相続人間でトラブルを防止することができます。もっとも、遺言にも種類が […]
-
遺産分割協議が必...
相続人が複数いると、誰がどの財産を受け取るか話し合いをする必要があります。それが遺産分割協議です。遺言によって […]
-
相続発生から相続...
相続税とは、相続をした際にかかる税金のことです、相続税は、必ず支払わなければならないわけではありません。まずは […]
よく検索されるキーワードSearch Keyword
代表資格者紹介Staff
資格
- 税理士
- 多摩大学大学院 経営情報学修士(MBA)
役職
- 税理士法人 かなり&パートナーズ 代表社員
- TKC西東京山梨会 副会長
- TKC全国会 書面添付推進委員会副委員長
- TKC全国会 書面添付・会計参与推進小委員会小委員長
- 多摩市・稲城市「志創業塾」塾長
- かなり&パートナーズ「経営者塾」塾長
- 株式会社 アルカディア(旧 中小企業ナレッジコンシェルジェ) 代表取締役
- 全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会 顧問(令和2年現在)
経歴
- 〈税理士法人かなり&パートナーズ代表/所属・役職〉
- 東京税理士会・武蔵府中支部所属
- TKC全国会書面添付推進委員会 会計参与推進小委員会 小委員長
- TKC西東京山梨会 書面添付推進委員長
- 多摩大学経営情報学研究科修士(MBA)
- 全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会 顧問(平成26年会長)
- 〈税理士法人かなり&パートナーズ代表/著書〉
- 夢をかなえる「志」経営塾(プレジデント社)
事務所概要Office Overview
事務所名 | 税理士法人かなり&パートナーズ |
---|---|
代表者 | 金成 祐行(かなり ゆうこう) |
所在地 | 〒183-0023 東京都府中市宮町2-15-13 第15三ツ木ビル9F |
TEL/FAX | TEL:042-334-5100 / FAX:042-334-5103 |
営業時間 | 平日 9:00~17:30 (事前予約で休日、時間外対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝日 (事前予約で休日、時間外対応可能です) |
アクセス |
京王線「府中駅」南口より徒歩7分 お車でお越しの方は、ビルの隣の駐車場か、斜め向かいのタイムズが便利です。 |